虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より
風雲児・神彰(2)
そんなことがあった後、卒業してぶらぶらしていた私は、当時、ソ連のボリショイサーカスを呼んで日本中の注目を浴びていたプロモーターの神彰に興味を抱きはじめた。当時呼び屋の風雲児としてマスコミも大騒ぎをしていたのだ。さらに人気、実力ともにナンバーワンといわれた女流作家の有吉佐和子と結婚したことでも話題をさらっていた。彼女はまだ何も賞をとっていなかったが、あらゆる文壇関係者が絶賛する人気絶頂の流行作家だった。
私は、石原慎太郎に「有吉さんを紹介してください」と頼んだら、例によって「いいよ」と二つ返事で了解してくれた。私は彼が作家仲間として有吉佐和子ととくに親密なことを知っていたのだ。
私はさっそく、有吉佐和子に呼ばれて彼女の家を訪問した。石原慎太郎は彼女に「ちょっと変わった東大卒業生がいるから」と私を紹介してくれた。彼女は私を値踏みするように見つめながら「呼び屋の仕事は大変ですよ。あなたに本当にできますか」と冷ややかに訊いてきた。
私は正直、「何か威張った女だな」と内心反発を感じながらも、表向きは素直な表情をとりつくろい「はい、何でもやります」と答えた。すると彼女は「それじゃ、パパに会ってきなさい」と、神彰を紹介してくれたのだった。考えてみれば当時の彼女は跳ぶ鳥も落とす勢いをもっていたのだ。
・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く
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私の虚人としての歴史は神彰との関係から始まった。 #康芳夫
— 康芳夫(国際暗黒プロデューサー) (@kyojinkouyoshio) March 10, 2017
それは何よりも神彰が私のプロデューサー像に近いものを持っていたからに他ならない。 #康芳夫
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