虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より
裏の処理係(1)
その後、ジャズ以外にもさまざまなものを呼んだが、ジャズに限らず、これも呼び屋が必ずかかわる問題がもう一つあった。それは公演にはつきものの地元ヤクザとの折衝である。これも実にややこしい問題である。この難問についても私はある独自の方法で対処することを考えついた。
その筋の人間たちに多少の金を握らせて、たとえば京都で興行をうつ場合、京都の祇園などで飲ませたり抱かせたりするなどは当然のこととしてやっていたが、私はもっと確実で効率的な仕組みを考えついたのだ。
それは、こういう仕組みだ。公演する地元の新聞社と共同開催または、主催になってもらうのである。これは、確実に効果があった。いまでは当然のようになって、この形式でさまざまなイベントが開催されるが、この形式は我々がはじめて編み出したのだ。
新聞社の名義でイベントが開催されると、地元のヤクザもそう派手なことはできない。やはりペンは剣よりも強し、である。いまでもそうだが、地方では朝日や読売といった中央紙よりも地元の有力新聞のぼうが地元の経済界や政界に影響力を持っている。へたに騒ぐと当然新聞で叩かれ、地元の有力者ににらまれる。これを恐れるのだ。もちろんそれでも多少、金は出すし土地土地の花街や銀座のようなところで飲むが、それはいちおうの儀式で、彼らが新聞社を敵にまわすとやばいと感じ、思った以上に処理がスムーズにいくのだ。
・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く
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ある日、私の友人である大物総会屋のある男から電話がかかってきた。私は犯罪には手を染めないが、業種柄さまざまな世界に友人がいる。裏社会でもトップに昇りつめた男たちはそれなりに頭も良く、人間的にも個性的な魅力を持っているものだ https://t.co/zwsxWNxEql 虎と空手武道家の死闘 #康芳夫 pic.twitter.com/Q86zVALZpT
— 康芳夫(国際暗黒プロデューサー) (@kyojinkouyoshio) October 8, 2019
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