”総統”と呼ばれるにふさわしい男(2)
プロデュース(康芳夫)
ノストラダムス(原作)
ヒトラー(演出)
川尻徹(著)精神科医 川尻徹
「今度は総統護衛隊を閲兵中の写真だ」(写真⑱)
「これは右手が上がってますが・・・・・・」
「だけど、よく見ると肩関節の部分は水平位置より上がっていないだろう?兵士たちの身長と比較すると長身とは言えないが、品格があるし、威厳は一級品だ。足どりも軽そうだな。というのは、肥満傾向がないからだ。これだけのスマートな男が、最終段階では廃人同様の老人になるだろうか」
川尻博士はさらにスライドを操作する。その次のは、眼鏡をかけたヒトラーだった。
「これは一九四四年六月六日、つまり連合軍がノルマンディに上陸した日に撮られたものだ」(写真⑲)
「太ってはいませんね。表情はクールで、判断力がありそうです。自信に満ちた表情をしてますよ」
「そうだ。こんな人間がすぐカッとなったり、見当違いのことばかりして負けてばかりというのはおかしい。さらに、どうしても自殺しそうには見えない。ところで、髪がいやに黒くつやつやしているだろう?」
「ええ」
「ヒトラーの家系は遺伝的に禿頭−−−禿なんだ。この年齢でこんなに毛髪があるというのはおかしい。生え際の後退から考えて、どうやらカツラを使用しているとみていい。さて、こいつが最後だが・・・・・・」
それは軍帽を被った姿を右側面から撮影したものだ。驚くほど威厳に満ちた姿だった(写真⑳)。
・・・・・・・・・次号更新【頬の”母斑”こそ実体ヒトラーの徴】に続く