虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

総長に詰めよる(4)

コンサートは大成功だった。安田講堂に集まったメンバーは三保敬太郎や宮沢明など当時の一流ミュージシャンたち。司会は「スイングジャーナル」初代編集長久保田二郎。こいつはもう亡くなったが、とんでもない「くわせもの」というか、うるさいジャズ界のなかでもきわめつきのうるさ型で、のちにジャズ界ナンバー1の女性シンガー、ヘレン・メリルと同棲することになり、かの「植草甚一」にジャズその他いろんな「雑事」を教えた家庭教師でもあった。

東大生以外からもコンサートを聞きつけた他大学の学生たちがわんさと押しかけ、ホールは超満員にふくれあがった。立ち見客どころか、ホールの窓からのぞこうという客で身動きとれないほどだ何と入場券にはプレミアもついてしまった。五月祭のイベントでプレミアがついたなどというのは前代未聞のことだ、この大学はじまって以来のジャズコンサートの成功は当時の新聞当にも大きく掲載された。総長たちの苫虫を噛みつぶしたような顔を想像して、私の笑いは止まらなかった。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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