虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

KGB、上納金、裏の真実(3)

神はボリショイサーカスなどのソ連もの以外に、中国からも京劇や北京曲技団などの興行を呼んできた。これらも当初はボリショイサーカス同様、共産国中国の公務という理由でほとんどノーギャラで呼んできた。これらの仕組みもソ連ほどの強力なパイプはないにしても、大方同じような仕組みだった。収入もボリショイサーカスにはほど遠いがそこそこのもうけにはなたのだ。

当初は、と限定していうのは、これらの「赤い」興行もしだいに状況が変わっていったからだ。当然、彼らもあまりにももうかるこの仕組みに気づかないわけがない。それほど馬鹿ではない。いくらまじめで純粋な共産主義者でも、金庫にあふれる札束で贅沢三昧している我々を間近に見ていると、資本主義の誘惑に魅せられてしまうのはしかたのないことだろう。

徐々に彼らの要求は単純な電化製品や車などの物品から、実質的なギャラへと変わっていった。また、興行の目的も政治的意味合いは薄れ、ほかの興行と変わらない利益目的の事業へと変わっていったのだ。

ちなみに現在でもこれらの公演は続いているが、現在は完全な営利目的による事業として行われている。興行主も変わっていった。実際には興行の権利をある会社にとられたのだが、ここにも我々アートフレンドアソシエーションから別の興行主に代わった、すさまじい呼び屋同士の暗黒の闘いがあったのだ。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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