入場料の高さで宣伝(2)
十一月七日、トム・ジョーンズ来日決定記者会見を開いた。前宣伝がきいて、百人以上の記者が集まって来た。その席で私は、武道館および大阪フェスティバル・ホールでの公演の入場料を発表したのである。最高三万円(フェスティバル・ホールのみは三万三千円)、そう読み上げたとたん、記者たちの間からどよめきが起こった。
ムリもない。これまで最高とされていたのが、黒人シンガーとしては、人気、実力ともにナンバーナ・ワンといわれ、四十七年春来日したディオンヌ・ワーウィックの五千円だったのだから。その約六倍。
翌日の新聞がいっせいに、このことを報じると、私のもくろみどおり大騒ぎになった。
「いったい、誰が見に行くんだ、ファンをナメている」という主旨のものが多かったと思う。反応の大きさを見て、私は追い討ちをかけた。二月二十一日『ラテン・クォーター』のショーは十二万円と発表したのだ。空前絶後といっていいだろう。わずか一時間ほどのショーの入場料が十二万円とは。
それと同時に『ラテン』の諸岡営業部長が、
「これは当店の開店十五周年記念としてお客さまへの恩返しのためやるもので、十二万円でも完全に赤字である。たとえば案内状だけでも金箔を使うので、三百部の印刷に百万円かかるほどだ。招待者としては、高松宮ご夫妻、在日英国大使夫妻、島津貴子さん夫妻、田中総理、佐藤前総理夫妻・・・・・・」
と発表。
トム・ジョーンズからは、次のようなメッセージが届いた。
「どんな方に会えるか、楽しみです。天皇ヒロヒト、ミスター・サトウにお目にかかれたら光栄です・・・・・・」
実をいうと、これもすべて私の演出だったのである。トムのメッセージも原文は私が書いた。
反響は私の予想をはるかに超えていた。
・・・・・・次号更新【入場料の高さで宣伝(3)】に続く
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『虚実皮膜の狭間=ネットの世界で「康芳夫」ノールール(Free!)』真の虚業家の使命は何よりも時代に風穴を開け、閉塞的状況を束の間でもひっくり返して見せることである。「国際暗黒プロデューサー」、「神をも呼ぶ男」、「虚業家」といった呼び名すら弄ぶ”怪人”『康芳夫』発行メールマガジン。・・・配信内容:『康芳夫の仕掛けごと(裏と表),他の追従を許さない社会時評、人生相談、人生論などを展開,そして・・・』・・・小生 ほえまくっているが狂犬ではないので御心配なく 。
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