虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝/康芳夫(著)より

総長をバットで殴った!?(3)

私は、さっそく、学生新聞にこのやりとりを取材させ紙面を通じて全校に問題提起した。これには日頃から私の型破りな言動に苦い思いをさせられている代々木系も三派系も「それはおかしい」と即座に賛同し、総長に対して退陣要求を突きつけた。もう、学内中がこの問題で騒然となってしまったのだ。ついには、茅総長を呼びだし説明を求める全学集会まで開かれた。

壇上に呼びだされた総長は学生たちに厳しく追及され、まともに答えられる状況ではなかった。内心、そのおどおどした様子に少し同情する気持ちもあったが、この問題提起の当事者である私はそんな甘い顔は見せられない。片手にバットを握りしめて、鬼気迫る勢いで総長をつるしあげたのだ。この時の迫真の演出からか、「康が総長をバットでぶん殴った」という噂があっという間に大学内外に広まってしまった。この事件を機に「康芳夫」という奇怪な人物に対する強烈な印象を残すため、その噂をあえて否定しなかったが、もちろん私は決して総長を殴ったりはしなかった。興奮して暴力をふるって傷害罪を負わされるような単純な人間ではない。

最終的に、教授会で再検討され「康のトリッキーな駆け引きにも問題があった」として講演は中止になった。が、これがまた各方面から非難を浴びてしまう。「なぜ中止になったのか」とインド大使館から正式な抗議が大学に寄せられた。これには、大学の教授会も混乱して途方にくれてしまった。とにかく、五月祭の歴史に残る事件となったわけだ。

・・・次号更新【『虚人魁人 康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』 official HP ヴァージョン】に続く

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